ベニーゴルソン at ブルーノート(初日2nd)

ここ最近は頻繁に来るベニーゴルソン。
ソロとしては3年ぶり、ロンカーターやケニーバロンと来たやつを数えると1年半ぶりくらいか。
メンバーは前回と同じ人はピアノのマイクルドンのみ、比較的若く少しポップな感じ。

87歳ということもあって少し足取りが(3年前に比べて)不安になったか、しかし普通のその年の人よりは数段元気であろう。
登場とともに軽い挨拶、日本好き好きアピール。
・ここからは本人談もまぜて曲の説明を

最初の曲はベニーが生まれる前に出来た曲「Sweet Georgia Brown」、曲前にベニーからテンポの指定とキーの確認がされる。今回の公演全体で感じたのが曲の前に必ずテンポと楽譜の確認をする時間があった。おそらく新しいメンバーで新しいアレンジに挑戦したのだろう。

続いて「俺は誰かと組んでたな…ハリー…違うな…ジョー?、あ、アートブレイキーだ!」とおちゃめな会話をする。すかさず私はさっきサインしてもらったばかりのモーニンを掲げたら「そう、そいつだよ」と言ってもらった。このアルバムのなかから定番の「Blues March」、最初のドラムロールで敬礼をするのは定番。サックスをまるで銃のように扱い、肩にかける。マイクから次第に離れるパフォーマンスもお手の物。

そしてなんと「次の曲は今まで演奏したこのとのない曲をやります、楽譜が見つかればね」と!しかし確かになかなか見つからない…期待ばかりが高まる。ちょくちょく日本語で「チョットマッテ」と挟みながら探しまくってる。そしてとうとう見つけデュークエリントンの曲だと判明する。曲は「Mood Indigo」、はっきり言って今回のギグのハイライトはこの曲だった。ワンホーンのバージョンは初めて聴いたがメロディラインがしっかり聴こえる上ゴルソンとマイクルドンの音に本当によくあっていた。

演奏が終わると一言「ジョンコルトレーン」と言う。彼らはアマチュアの頃友達だったのだ。お互い窓を開けて練習をしていたが下手すぎて隣人に殺されそうになったとか。たくさんのギグを重ねて成長しマイルスデイビスからたくさんのことを学んだと。曲はもちろん彼も演奏した名作「Stablemates」。

今回の印象としてかなりカバー曲が多い。作曲家として素晴らしいのでそこは少し残念だが、かわりにアレンジャーとしての素晴らしさを垣間見ることができた。
そして次は素晴らしいバンドだからサックス抜きで聴いてほしい曲があると。
曲は伝説のトロンボーン奏者の「Lament」.サックス抜きで!と強調する。こういう時間は毎度毎度あるから事実上のベニーの休憩時間かな。
続いて話はジョンコルトレーンの話に戻りマイルスデイビスと組んでいた時にジョンが作った曲についての話になる。(挙げられたメンバーから判断するにおそらくあの名盤「Kind of Blue」の時期であろう)
P.C.という略が何になるか…おそらくポールチェンバースだろうとみんなが思ったがベニーは次々にそれらのイニシャルの人物を挙げて笑いを誘う(残念ながら全く聞き取れなかった…)。
曲はジョンコルトレーンがポールチェンバースのことを書いた「Mr P.C.」

ここでベニー時計を気にしだす。思ったよりやったのかな?
ここだれ間髪入れず「Now’s The Time」、バードとはまた違うスローなテンポ。最前列で聴いていた私は最後のソロのパートはベニーがふざけてやってきて、サックスを顔から20センチもないところに置かれて聴いた。

合計1時間とちょっと、感想は満足の一言。
この人はテクニックではないが楽器を通して聴こえるハートが素晴らしい。
またメンバーでも変えてすぐに来日してほしい。

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